このたび、2024年11月12日(火)から11月17日(日)まで、SARP仙台アーティストランプレイスにて、第三回ふげん社写真賞グランプリを受賞した1985年東京生まれの写真家・浦部裕紀の、仙台では初となる個展「空き地は海に背を向けている」を開催します。
2011年東日本大震災の際に東京で被災した浦部は、連日メディアが衝撃的な映像を流し、「連帯」を熱心に呼びかけ、それを忘れていく社会に強烈な違和感を抱いていましたが、当時は、テレビやPCのモニターを通したそれらの映像を、ただ見ることしかできませんでした。
その後2020年のパンデミックで、「自粛」、「ステイホーム」を呼びかける社会に、9年前の震災の時と同じ同調圧力の空気を感じました。そのことをきっかけに「復興」の進んだ被災地に訪れた浦部は、海と陸を無機質に分断する防潮堤と、コピー&ペーストを繰り返したような防風林のあまりの単調な風景に衝撃を受けました。
作家は、その後何度か被災地を訪れて、岩手県宮古市から茨城県東海村まで海岸線沿いを歩き、空き地にポツンと佇む人の影、震災伝承館の模型、延々とつづく防潮堤を撮影し、そして靄のように脳裏に浮き上がってくる津波の映像を東京の自宅でモニターにシフトレンズを向けて長時間露光撮影していきました。
本展では、「空き地は海に背を向けている」から12点のピグメントプリントを展示します。
「震災」から始まった自分の社会に対する違和感を、「当事者」ではない自らの立場も含め、そこから逃げずに初めて対峙した作品を、ぜひご覧ください。
第3回ふげん社写真賞を受賞し、町口覚氏が造本設計した写真集『空き地は海に背を向けている』を会場で販売いたします。
また、会期中の11月16日(土)には、写真評論家であり、ふげん社写真賞選考員を務める飯沢耕太郎氏をゲストにギャラリートーク(無料)を開催いたします。
■開催概要
第三回ふげん社写真賞グランプリ受賞
浦部裕紀写真展「空き地は海に背を向けている」
会期:2024年11月12日(火)〜17日(日)
時間:11:00〜19:00(最終日のみ17:00クローズ)
会場:SARP仙台アーティストランプレイス
〒980-0012 宮城県仙台市青葉区錦町1-12-7門脇ビル1F
TEL&FAX:022-222-0654
アクセス:地下鉄 勾当台公園駅下車徒歩10分、JR仙台駅から徒歩20分
主催:ふげん社
展覧会に関するお問い合わせはふげん社までお願いいたします。
■イベント
ギャラリートーク浦部裕紀×飯沢耕太郎(写真評論家)
日時:2024年11月16日(土)14:00-15:30
要予約・参加無料(定員20名)
ご予約方法:ふげん社オンラインストアからチケットを入手、もしくはふげん社宛のメールかお電話でご予約ください。
電話 03-6264-3665
■プロフィール
浦部 裕紀 Hiroki Urabe
1985年 東京都生まれ2010年 早稲田大学創造理工学研究科建築学専攻修士課程修了2014年 第11回写真「1_WALL」ファイナリスト2015年 第13回写真「1_WALL」ファイナリスト2021年 第1回ふげん社写真賞ノミネート2022年 第2回ふげん社写真賞ノミネート2023年 第3回ふげん社写真賞グランプリ
■書誌情報
浦部裕紀『空き地は海に背を向けている』
第三回ふげん社写真賞グランプリ受賞作
発行所:ふげん社
発行年:2024年6月30日
造本設計:町口 覚
サイズ:B4変形(249×312mm)
仕様:並製本、オープンバック
頁数:96頁
写真点数:86点
定価:6,600円(税込)
ISBN 978-4-908955-30-3
■「ふげん社写真賞」について
ふげん社写真賞は、渡辺美術印刷株式会社創立70周年記念事業として、2020年に創設されました。写真表現の歴史に確かな歩みを記し、写真および印刷出版の文化を拡張し、深めるため、作家を支援し、写真集出版を行います。
歴代グランプリ受賞者:
2021年度 第一回 木原千裕(写真集『いくつかある光の』はこちら)
2022年度 第二回 川口 翼(写真集『心臓』はこちら)
2023年度 第3回 浦部裕紀
2024年度 第4回 守田衣利
次回の作品募集は、2025年6月開始を予定しております。
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